砂漠は太古の昔と宇宙に広がる銀河、そして過去と未来を同時に感じさせる場所です。それは限りなく遠いものでありながら確かに存在する世界であり、皆のものでありながら誰のものでもない土地です。砂漠を舞台にしたエトロの最新キャンペーンは、ヘンリック・プリエンヌをフォトグラファーに迎え、カリフォルニアのパームスプリングスで撮影されました。いや、ロサンゼルスだったか、はたまたモーリタニアだったか、ひょっとしたら火星だったのでしょうか?砂漠では、地理的な座標はほとんど役に立ちません。灼熱の砂漠では、色彩は太陽に飲み込まれ、地平線の彼方まで見渡す限り同じ光景が広がっています。
都会を離れ、コルベットに乗り旅を続けるミカ・アルガナラズとサム・マロスの二人が辿り 着いたのは砂漠。人は権威も成す術もなく、ただ自然が野生の威力を振るう世界で、かつての理想主義と繋がりを匂わせる服を身に纏い、岩と砂煙の間を移動します。キャンペーンイメージには、精緻なディテールから、ワイルドに仕上げた上質な素材まで、エトロのアイデンティティであるノマド・スピリットが、時間や空間などの概念に囚われずにしっかりと表現されています。過去なのか未来なのか、既に起こったことなのか、それとも、これから起ころうとしていることなのか?それを明らかにしたり、整理したりするのは無意味。重要なのはそこから発せられる平和です。夕刻の灼熱の太陽に照らされ、強い願望が浮き彫りになった平穏と安らぎのメッセージ。
今回のキャンペーンで描かれるのは、時間の中で、そして時間を超越して、荒々しくも純粋なままの自然に触れる旅。それは、ボヘミアンの詩的な世界観で、情熱的でありながらさりげないセンシュアリティを放つ、エトロのノマド・スピリットを再定義しています。
「エトロのクリエイティブ・ディレクターとして最後となる今回のキャンペーンは、時間の流れに沿って進みながらも、時間をも超越する場所への旅がテーマです。重要なのは目的地では なく、旅そのもの。これまで私たちが前進する時の原動力になってきたノマド・スピリットと 好奇心を携えて、太陽が降り注ぐはるか彼方の世界へと向かう、名もなき道です。」
キーン & ヴェロニカ・エトロ
◆エトロ2002秋冬広告キャンペーン
フォトグラファー: ヘンリック・プリエンヌ
スタイリスト: エマニュエル・アルト
モデル: ミカ・アルガナラズ、サム・マロス
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